外国為替証拠金取引の長期投資家
外国為替証拠金取引(FX)は、為替差益をねらいレバレッジを効かせて短期売買行うものと思っている人が多いですが、実は長期投資にも向いているのです。日本円が世界的にもまれな低金利状態の現在は、海外の通貨を買い建てることで日本円との金利差によるスワップ金利が得られる絶好のタイミングなのです。スワップ金利とは、金利の高い通貨と低い通貨の金利差分を受け取る(または払う)ことを言います。例えば米ドル/円の通貨ペアで日本円を売り米ドルを買い建てる場合、金利の高い通貨を買うのでその金利差に当たるスワップ金利を受け取れます。逆に金利の高い米ドルを売り金利の低い日本円を買えばスワップ金利分を支払う必要があります。なお、スワップ金利はFX 取り引き会社により異なります。また各国の金利の変動に従って日々変動します。かなり間が空いてしまいましたが、しばらく下げていたドルが回復、円は利上げ期待が急速にしぼんで下落、ユーロは最近対ドルでやや弱いものの依然として底堅い、というのがこのところの要約でしょうか。中心は相変わらずドルと円の金利でした。今回はドル金利の話が中心になります。1週間前に遡りますが、8日(金)に発表された米国の雇用統計で、非農業部門雇用者数が投資信託市場予想を上回ったあたりから変わり始めた流れが、先週にはさらに進みました。雇用統計では、それに先立って発表されていた関連指標の傾向通り、不動産担保ローンの住宅・建設部門と製造業で雇用者数が減少しました。しかし同時に、それらのマイナス要因が米国経済全体には波及していないことを全体の数字が裏付けた形になりました。そしてこのことは、先週(12日)行われたFOMC(連邦公開市場委員会)が金利の据え置きを決定した後の声明によって、FRBの認識でもあることが改めて確認されました。つまり、1. 経済成長は今年を通じて減速しており、これには脱毛市場の大幅な冷え込みが影響している。2. 経済は今後数四半期は総じて緩やかなペースで拡大する公算が大きいと予想される。3. インフレ圧力は将来緩和する見通しであるが、現在は多少のインフレリスクが残っている。4. このリスクに対する追加的な引き締め策を取るかどうかは、今後の景気とインフレの動向次第。ということです。市場ではバーナンキ議長及びFRBは米国景気の先行きに楽観的、との判断から米国利下げ観測が後退し、ドルに買い戻しが入りました。「米国は利下げしない」と以前から言い続けて来ましたので、FOMCのこうした認識はその確認に過ぎません。短期金利の先物取引を見ると、来年3月までの利下げは諦めた水準ですが、長期金利は10年物国債利回りが未だにFF金利を0.5%以上下回る逆イールドです。これは来年4月以降には利下げがあるという期待を反映しています。つまり「FRBの今の見通しは間違っている。利上げなどできる状況ではない」、言い換えれば今の金利水準では引き締め過ぎ(オーバーキル)だからインフレ懸念は的外れだ、という異論を市場が唱えているということです。FRBが現在の金利水準を据え置く、つまり引き締め過ぎではないと考える根拠の1つは、実質(短期)金利の水準かもしれません。FF(フェデラルファンド)金利からCPI(消費者物価指数)のエネルギーと食品を除くコア指数(前年同月比)を差し引いたものを実質(短期)金利と定義します。FF金利は5.25%で、CPIコアは15日(金)に発表された11月の実績が2.6%でした。従って実質短期金利は2.65%です。ここで昨年まで18年間のグリーンスパン議長時代を振り返ると、FRBが金融緩和をした時の最も低い実質金利水準は約2.9%でした。これが参考になるとすれば、FRBにとって今の実質金利水準は引き締め過ぎではなく、むしろ緩和的と判断していると推測できます。FRBが利下げを検討するのには、CPIコアがあと0.25〜0.30%低下する必要があるのではないでしょうか。それか、今後の景気関連指標が、住宅・製造業のみならず雇用、消費と広範にわたって減速するというケースです。しかし、15日発表の鉱工業生産指数は(振れが大きいとはいえ)3ヶ月ぶりに前月比プラス、それも製造業の伸びが全体に寄与しています。景気の腰折れは今のところ見ることができません。為替市場を多くの人が金利から見るとすれば、米国はこのような状況です。一方、日本では短観を受けて来年1月〜2月に利上げとの予想が強まってきたものの、織り込みはまだ不十分。ユーロは年明け後の3月(早ければ2月ですが、先日の欧州中銀理事会後のトリシエ総裁の会見からは急がないと見た方がよさそうです)利上げが完全に織り込まれています。その意味では、 ここから動きが出る余地は、日本の利上げが(特に1月と)確実になった場合でしょうが、いずれにしてもクリスマス明けでしょう。